「パラリンピック出場」
という新しい目標が
再び前を
向かせてくれた
佐々木 凜平
SASAKI RINPEI
パラ陸上競技

passion

一度はスポーツをあきらめた。
でも、パラリンピック出場という
新しい目標が、再び前を向かせてくれた

佐々木 凜平
競技名
パラ陸上競技
生年月日
1995/12/26
競技実績
100m/17秒49
400m/59秒00

ケガがきっかけで始まった車椅子での日々。周囲のすすめで車いすマラソン大会に出場したのをきっかけに、パラ陸上競技の世界へ

─ 佐々木さんは、元々はラグビーをされていたんですよね。

佐々木さん(以下、佐々木):はい。6歳からラグビーを始めて、大学でもラグビー部に所属していました。ですが2016年の春、試合中に起きた右ひざの前十字靭帯断裂再生手術中の何らかの原因で両足が動かなくなり、車椅子を使って生活することになりました。

─ ラグビーが続けられなくなったんですね。そこから、現在取り組んでいるパラ陸上競技に出会ったのはどんな経緯でしたか?

佐々木:ラグビー選手として世界で活躍するという夢は実現できなくなりました。ラグビーを続けることはできない。ではどうしよう?と考えたときに、2020年のオリンピック・パラリンピックのことが頭に浮かびました。まず「車いすラグビーはどうだろう?」と考えたのですが、障がい者スポーツ競技には競技特性や障がいの種類又はその区分によって参加制限があり、僕の障がい区分ではラグビー競技でパラリンピックには出場できないことがわかりました。そんなとき、リハビリのために入院していた病院で、担当の理学療法士から「車椅子で出られるマラソン大会があるよ」とすすめられて、2017年12月の大会に出場しました。その大会は健常者も車いすに乗り、一緒に参加できる大会でしたが、勧めてくれた理学療法士に負けたことが悔しく負けず嫌いに火がつきパラ陸上競技を始めました。そして、「僕の次の目標はパラリンピックに出ることだ」と確信し、本格的な練習を始めました。

─ 競技を始めるにあたって、用具をそろえたり指導者を探したりといったハードルはどのようにクリアしましたか?

佐々木:12月に出場した車いすマラソン大会で、車いすメーカーの特別賞が当たり、それが「レーサー(競技用の車椅子)」だったんですよ(笑)。それで第一関門の「用具」はクリア。そして、競技を始めてからしばらく指導してくれたスポーツセンターの指導員を通して、現在指導いただいている永尾由美・嘉章コーチに出会いました。パラリンピックのメダリストから直接指導を受けられるのはとても貴重なことだし、本当にラッキーだったと思います。

競技を始めてまだ1年。成長できるポイントはまだまだたくさん!

─ パラ陸上競技ではどんな種目にチャレンジしているんですか?

佐々木:僕は100mと400mのトラック競技をやっています。パラ陸上競技ではレーサーを使いますが、これがとても速いんです。トップ選手だと時速40km近いスピードが出るんですよ!普通に走っていたころよりもずっと速いスピードの世界で勝負できるのが大きな魅力ですね。

─ パラリンピック出場の条件や、今取り組んでいることは?

佐々木:最低でも100mでは、14秒前半のタイムを国際大会で出すことが必要な条件です。今の僕の自己ベストは17秒49なので、タイムを約3秒縮める必要があります。3秒というと「かなり厳しい」と感じるかもしれませんが、競技を始めてまだ日が浅いため、伸ばせる部分がまだまだあると感じています。今は鏡を見ながらローラー(ランニングマシーンのような、屋内練習用の器具。上にレーサーを乗せて使う)の上でフォームをチェックしたり、コーチに動画を撮ってもらってアドバイスを受けたりと、フォームの改善に努めています。それから、短距離はスタートダッシュがとても重要。現在自分の体重は筋量が多く、重すぎるため、減量にも取り組んでいます。ラグビーをしていたころはとにかく筋力を鍛えていましたが、今はその趣味の筋トレも我慢ですね(笑)。

昼間は仕事、練習できるのは夜と休日。“二足のわらじ”でスポーツに取り組む日々

─ 普段の練習はどのようなメニューですか?

佐々木:平日は母校でもある大学卒業後、事務員として働いています。17時に仕事を終えて、それから競技場に移動して練習をしますが、トラックを使える日には限りがあり、占有利用が入っている場合には使えない日もあります。だいたい19時から21時までの2時間がトラックでの練習時間になります。トラックが使えない日や天気が悪い日などは、屋内でローラーを使って練習をしています。

─ 休日のほうが、練習時間としては充実しているんでしょうか。

佐々木:そうですね。平日の夜は一般利用者も多い時間帯なので、周りを気にしながら利用しなければならないので、土日や半休のとれた日などは利用スペースにも多少余裕があります。平日の夜しか練習できない分を土日に取り戻している感じかもしれません。でも、本音をいえば、もっと練習時間が必要だなと思います。アレもコレも鍛えたい!けど、時間がない……という感じが、今は少しもどかしいですね。

競技に必要な費用をどのようにまかなうか。DOSAパラエールのサポートで、少しずつ自分に必要なモノをそろえられるように

─ 競技を始めた当初、困っていたことなどはありますか?

佐々木:指導者がおらず、練習場所も十分ではなく、練習方法も全て手探りでした。その後運よく永尾両コーチを紹介してもらうことができましたが、さらに上……パラリンピック出場をめざすには、経済的に厳しいところがありました。

─ DOSAパラエールと出会ったことで、変わったことは?

佐々木:パラ陸上競技にはさまざまな用具が必要になります、先ほどもお話ししたレース用の車椅子「レーサー」は高額ですし、それに、ホイールをしっかりとグリップするためのグローブ。これも、自分にピッタリのものでないと最高のパフォーマンスができません。こうした用具を全て“自分にピッタリ”でそろえるのに必要な費用は、とても僕一人の収入ではまかなえません。また、大会に出場するための遠征費なども捻出する必要があります。DOSAパラエールからもサポートを受けられるようになったことで、必要なモノを徐々にそろえられるかと思います。これも、競技を続ける大きな支えになっています。

─ これからもう一歩上の世界をめざすにあたって、課題に感じていることはありますか?

佐々木:まずは練習時間です。今は仕事の後や休日を練習時間にあてていますが、他の選手を見ているともっと時間を練習に割いている人が多いです。僕は仕事をしているのでどうしても難しい部分はありますが、トラックを使える時間がもっと増えたり、練習に使える競技場が増えたりしたら嬉しいですね。
それから、レーサーやグローブなど用具もまだまだ完璧ではないですし、遠征のための交通費なども必要になります。パラリンピック出場のためには世界大会に出場し、ランキングに入らなければなりませんが、そのためには海外遠征が必須です。これからも経済的な不安がありますね。

スポーツをあきらめてしまった子どもたちに、もう一度前を向いてほしい

─ 2020年のパラリンピックに出場できたら、そこでどんなふうに活躍したいですか?

佐々木:僕自身、2年前までは健常者でした。でもそこから車椅子になって、当時はもう「全部だめになってしまったな」とあきらめていました。ですが、僕は自分にできる競技を見つけ、今もスポーツと向き合っています。そんな毎日が、すごく充実しているんですよ。多分世の中には、突然車椅子生活になってしまって、こうしたスポーツにも出会えなくて閉じこもっている子も多いのかなと思っていて。そういった人たちを勇気づける……というと大げさかもしれませんが、少しでも「自分もやってみようかな?」って思ってもらえたらいいなと思っています。

企画・支援について
問い合わせる
企画・支援について問い合わせる
佐々木 凜平
SASAKI RINPEIパラ陸上競技
出身地
秋田県男鹿市 
障がいの種類
両下肢機能障害