緊急事態宣言解除後もWeb面接を導入し続けるメリットとは?
PayPay株式会社に学ぶ

新型コロナウイルス感染症の影響により、中途採用における求人企業と求職者のコミュニケーションの在り方が大きく変化。ソーシャルディスタンス確保の観点から、多くの企業が採用活動をオンラインに移行しています。

転職支援サービス『リクルートエージェント』を通じて採用活動を行っている企業へのアンケート結果から(※)、緊急事態宣言下にWeb面接を実施した企業は66.6%で、そのうち28.3%はWeb面接のみで選考完結していたことがわかりました。また、Web面接を実施した企業のうち、緊急事態宣言解除後にもWeb面接を継続していると回答した企業は88.8%に上ります。希少な経験を持つ即戦力人材の採用に成功している事例もあり、継続のメリットを感じている企業が多いことがわかります。

緊急事態宣言は解除されたものの、再び感染が拡大傾向にある中、まだまだ「対面面接」を組みにくい状況が続くでしょう。しかし、「Web面接では人物を見極めにくいのでは」「自社の魅力が伝わらないのでは」といった不安から、Web面接の導入に踏み切れない企業も少なくないようです。

一方で、Web面接には「メリットが多い」という声も伝わってきています。移動時間の制約がないため、採用活動を効率化できるほか、幅広い求職者と面接できる機会も増え、採用の可能性を広げられると期待できます。

そこで、実際にWeb面接を運用している企業の採用担当者にインタビュー。Web面接を実施した手応え、課題と対策についてお聞きしました。今回、お話を伺ったのはPayPay株式会社。ビジネス職(営業・企画・マーケティング・管理部門など)採用担当の池村理佐さんと、エンジニア職採用担当の金村ゆきえさんです。ぜひ参考にしてみてください。

PayPay株式会社採用ご担当者の画像

(写真左から池村理佐様、金村ゆきえ様)

Web面接導入で感じたメリットとは?

Q いつからWeb面接を導入しましたか?

ビジネス職については、2月から選考をすべてオンラインに移行しました。選考前、潜在転職希望者層にアプローチしてコミュニケーションをとる「カジュアル面談」も同時期にオンライン化しています。Web会議システムの『Zoom』を以前から社内の打ち合わせで使用していたこともあり、現場からの抵抗もなく、スムーズに受け入れられました。(池村さん)

エンジニア職の採用では、海外在住の方との面接も多いので、Web面接は新型コロナウイルス感染症の影響が出る前から行っています。『Zoom』のほか、録画機能付きWeb面接システム『HireVue(ハイアービュー)』を活用しています。(金村さん)

Q Web面接に移行して、どんな点にメリットを感じていますか?

面接日程の調整がしやすい

面接日程が非常に組みやすくなりました。応募者の皆さんは、仕事をしながら転職活動をされているので、対面面接だった頃は面接希望日が夜間に集中してしまっていました。今は在宅勤務をしている方が多いので、日中の時間帯に面接を組めますし、時間にも融通が利く方が多いですね。(池村さん)

選考のリードタイムが短縮

通常は内定までに、面接2回+人事との条件面談を行っています。対面だった頃は3回来社していただいていたので、日程調整の都合から、早い方でも応募から内定まで3週間~1カ月間かかっていました。すべてWeb面接に切り替えたことで、今では2週間ほどで完了する方もいらっしゃいます。(池村さん)

5月のゴールデンウィーク期間中の2日間で、オンライン選考会を行いました。両日とも面接担当者が自宅で常時待機しており、1次面接に合格した方には、すぐに2次面接へ進んでいただき、2次面接も通過された場合は、続けて最終面接も設定しました。皆さん、外出自粛中で自宅にいらっしゃったので、スケジュール設定がとてもスムーズでした。8月のお盆休み期間も集中選考を実施する予定です。(金村さん)

オペレーションが簡略化

面接担当者が移動する手間と時間も省けました。当社は執務室と面接に使う会議室が別の階にあり、通常時は面接の度に上の階と下の階を行ったり来たりしなくてはなりませんでした。また応募者の来訪受付から面接室までの案内も不要ですので、工数を減らせています。(池村さん)

お互いにリラックスした状態で対話できる

来訪・対面取材だと、応募者は受付から面接室へ、人事や面接担当者はオフィスから面接室へと、移動でバタバタしがちでした。今は自宅にいながら面接に入れるので、お互いにリラックスして話すことができ、素の部分を出しやすいと感じています。(池村さん)

応募者が増加

3月以降、応募者が以前より増えました。新型コロナウイルス感染症の影響で求人を控える企業もあった中で、当社は採用活動を継続。通常通りに実施していたため求職者の目に留まりやすく、加えて、Web面接の体制を整えていたことで、安心してご応募いただけたのではないかと思います。(池村さん)

Web面接を導入する際の不安や疑問について

オンライン面接のイメージ画像

Web面接の導入を迷っている人事担当者の皆さまからは、次のような疑問・不安の声が寄せられています。実際にWeb面接をされていて、どう感じていらっしゃるか、伺いました。

Q Web面接では、人柄を見極められないのではないでしょうか?

むしろ、その人の本質が見えやすくなることもあります

私の個人的な感想ですが、むしろ逆だと思います。対面では、身振り手振りや醸し出す雰囲気など、言葉以外の印象に引っ張られることもあると思います。ですがWeb面接では、その方の「言葉」に集中でき、考えていることの本質をつかみやすいと感じます。(金村さん)

Q Web面接では自社の魅力が伝わりにくく、応募者を惹きつけられないのではないか?

現場メンバーとの面談を設け、職場の雰囲気を伝えています

この点は、現場のメンバーがフォローしています。面接とは別に、配属先部門のメンバーとオンラインで話す機会を設けて、仕事の進め方や職場の雰囲気などを伝えています。応募者1人に対し、現場メンバーは2人。人数が多すぎると日程調整のハードルが上がり、応募者が圧迫感を覚える可能性があることから、2人を適切な人数としています。応募者は現場メンバー2人のやりとりの様子からも、人間関係や現場の雰囲気を感じ取れるのではないでしょうか。(池村さん)

当社の場合は、会社全体に、採用に対する当事者意識が根付いているのです。かねてより本部長が、採用は人事だけではなく全員のミッションであることを伝え、浸透させていました。そのため、応募者フォローの要請をしても、社員は快く協力していますね。Web面接をこれから導入する皆さんも、人事と現場が普段からコミュニケーションをとって関係を築いておき、「皆で同じ目標に向かって取り組む」体制を整えておくことが大切だと思います。(金村さん)

Q 応募者とスムーズに面接できるかどうか不安・・・

「事前アナウンス」と「見守り隊」で、不安を払しょくしています

通信環境により、オンライン面接室に入ってこられない、途中で切れてしまう、などのトラブルは当然あります。そうした不安を軽減するために、事前に細かな案内をお送りしています。前もって動作環境の確認をお願いするほか、通信がつながらなかったり途中で切断したりした場合の緊急連絡先などをお伝えしています。(池村さん)

面接担当者が時間通りにWeb面接室に入らず、応募者を待たせてしまうこともあります。エンジニア採用で使っているWeb面接ツールには「待機部屋」がありますので、人事担当者はそこで待機しておきます。必要な場合はフォローし、問題なく面接が始まればスッと抜けていく。いわば「見守り隊」ですね。(金村さん)

Web面接を続けていくにあたり、今後の課題は?

先ほど、「見た目の印象にとらわれず、言葉に集中することで人物像をつかめる」というお話をしました。その人の本質的な考えを引き出すためには、やはり面接担当者の対話スキルを高める必要があると考えています。今後は、会話の組み立て方などのトレーニングを実施していきたいですね。(金村さん)

人事担当者でなく、現場の社員が面接を担当する場合が多いため、誰もが同じレベル感で対応できるよう、全体の面接スキルを磨いていきたいと思います。(池村さん)



ご協力いただき、有難うございました。
取材日:2020年6月19日


※ 『リクルートエージェント』アンケート 緊急事態宣言下の中途採用活動、64.8%が継続 宣言解除後の採用手法に変化の兆しも 88.8%がWeb面接を引き続き実施