福田隆郎 × 内藤淳 × 曽根千智

PRODUCTSPI|個を活かす社会をつくる

SPI開発者が徹底討論。
個が活かされる社会とは。

福田隆郎 × 内藤淳 × 曽根千智


SPI
SPI

豊富な実証データと心理測定技術の融合により、
受検者のポテンシャル(資質)を「知的能力」と「性格」から測定することができる適性検査。

福田隆郎
福田隆郎

開発主幹。1981年に日本リクルートセンター(当時)に入社し、10年間、財務・経理の仕事に従事。その後、人事測定研究所にてSPI事業に携わるようになる。開発責任者、取締役を務め、リクルートマネジメントソリューションズ執行役員を経て現職。

内藤 淳
内藤 淳

主任研究員。大学で社会心理を学び、1989年にリクルート(当時)に入社。4年間、営業として勤務した後、専門知識を活かせる人事測定研究所の存在を知り異動。以来、二十数年にわたって開発に携わり、SPI2・SPI3開発の中心メンバーとして活躍。

曽根千智
曽根千智

研究員。大学では「教育と社会の接続」「就業」の研究に携わり、2015年にリクルートキャリアに入社。測定技術研究所でキャリアをスタートし、現在は言語分野における問題作成のプロジェクトリーダーとして活躍。

学歴採用から、個を活かす採用へ。
SPI*に息づくDNA

*SPI:約40年の歴史を持つ適性検査。社会環境や市場ニーズの変化に沿ってSPI、SPI2、SPI3と進化を遂げてきた。特にSPI3では、受検者向けの報告書をさらに充実させ、本人が自分自身のキャリアを描いていくための支援を強化。

福田:お疲れ様です。今日はまた、ずいぶんと幅広い世代が集まったなあ。

曽根:私は新卒1年目ですが、内藤さんはSPI2とSPI3開発の中心メンバーですよね。

内藤:福田さんはSPIが生まれた背景からよくご存じですもんね。

福田:SPIそのものの立ち上げメンバーとも関わっていた世代だから。曽根さんはまだ生まれてなかったんじゃない?

曽根:私はSPI3を受けて入社した世代ですし、正直、当時のことはあまりよくわからないです。

福田:今から考えると信じられないようなことだけども、リクルートのSPIが普及する前っていうのは学歴だけで卒業後の就職先が決まってしまうような時代でした。いわゆる指定校制というのがあって、ある特定の大学でなければその企業には入れないという構造だった。「自分はどこで何をやりたいのか」を考える発想もあまりなかったんじゃないかな。

内藤:誤解を恐れずに言えば、本人の適性や志向は一切関係なく、大学偏差値の序列がそのまま就職の序列になっていたんですよね。

福田:1962年に、リクルートが「さまざまな企業の求人情報を、学生に直接届ける」という事業を始めてから、世の中は自由応募制の時代に変わっていったんだ。

内藤:そうなってくるとさまざまな大学の、さまざまな学生が応募してくることになるから、企業は学歴だけじゃなくて、その人材を評価するためのものさしが必要になった、と。

福田:まさにその通り。SPIの登場は、社会的な要請でもあった。

曽根:今でもそうですが、そのものさしをいかに公正公平なものにできるかが、私たちの最重要課題ですね。

福田:うん。人材を評価するためのさまざまなテストが世の中に登場したばかりの時代には、「本当に、その人の持つ力を測れているのか」と思ってしまうような非科学的なものも出回っていた。そこでしっかりとした根拠、検証をもって、公正公平なチャンスのある社会にしようと挑戦してきたのがSPIの歴史。当初から「学歴や成績ではなく、その個人の持つ能力、特性といった持ち味を科学的に解明したい」という想いが根底にあった。もっと個を活かせるような社会をつくれないか、と。

曽根:それは今もしっかりとDNAとして受け継がれていますよね。私自身は、SPI3を受けて入社した世代です。配属時に適性検査の結果を返してもらったので、自分がどういうタイプなのかを把握してからキャリアをスタートできました。同僚や上司との意思疎通もスムーズで、それぞれの特徴を知っているからこそ、「どうしてそんなこと言うの?」みたいなズレも少なかったと思います。

福田:それはまさにSPIが新たに取り組んでいることのひとつだね。まだ少しずつ始めているところだけど、ひとつのグループで全員のSPI結果を共有して、より良いコミュニケーションを生んでいくという挑戦をしているんだよね。

曽根千智 福田隆郎

内藤:僕らもSPI3が出たときに部署全員に改めて受検させてみたことがあるんですが、自分と上司や同僚の違いを知ることで相手へのアプローチも変わるし、仕事の進め方も変わってくる。

福田:それによってミーティングの密度も上がるし、個々の仕事のパフォーマンスも上がるかもしれない。

曽根:SPIってテストという側面ももちろんあるんですが、その本質は自分の特性を知ることでひとつの指針が持てる、人との違いを知ることで相互理解が深まる、コンパスのような価値があると思うんです。どのタイプだから良い、悪いということではなくて。

内藤:今の学生たちは「自分が何をやりたいか」ということを突き詰めて考えているけど、「何が向いてるのか」という視点はあまり意識していない。一方で、企業側はそういう適性をしっかりと見極めようとしていて、自分の適性を知ることは就職活動をするうえでの土台になる。もちろん、「向いてないから、やりたいことをやるのは諦めた方がいい」という意味ではないんだよ。「困難な道かもしれないけど、それでもやりたいことをやる」という覚悟、確信を持つための支えにして欲しいということで。

曽根:私自身もそうでしたが、就職活動では「何に向いてるか」という話はほとんど出てきません。やりたいことを明確にして、業界を絞っていくという流れが一般的になっていますよね。やりたいことが定まらないときに、何に向いているかという視点から就職活動をするという選択肢があってもいいと思うんです。

福田:そういう意味で言えば、私たちがやるべきことはまだまだたくさんあるね。そもそもSPIは社会の要請に応えるかたちで生まれてきたもので、それぞれの時代にあわせてSPI2、SPI3と進化してきた。SPI3を開発する際には、企業側の「風土に合わずに退職してしまう人が増えた」という変化、採用される側の「もっと自分にあったところで働きたい」という意識の変化を捉え、より個を活かせるように大きなチャレンジをしてきた。これからもそうした時代の動きを捉え、新たな人材課題に向けてのさまざまな研究開発を進めていく必要があるね。

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研究と実践。
膨大なデータが未来をつくる原動力

曽根:福田さんが仰る通り、SPIの進化は就職や採用に大きな変化をもたらしてきたと思うのですが、こうしたことができる理由、私たちの強みってどこにあると思いますか?

内藤:SPIは約300の質問項目による多数の尺度で成されており、非常に精緻な心理測定ができるようになっている。これが実現できるのは、やはり我々のもとに膨大なデータがあるから。

曽根:膨大なデータが取れるのは、それが事業として世の中に価値が認められ、広く利用されているから。だからこそ民間企業で研究活動を行う意味があるんですね。

内藤:そうだね。アメリカをはじめとした海外とは違って、日本はまだまだ学術的に研究している方々と、企業向けのサービスとして実践している人のあいだには考え方に大きな違いがあるし、ここを埋めてシナジーを生みだしていくことがより豊かな社会をつくることにつながっていると思うよ。

曽根:入社してから知ったのですが、先端研究に触れる機会も多いですよね。

内藤:対外的な情報を得ることに関してはかなり積極的に取り組んでいるね。国内外を問わず、毎年必ず研究員を参加させると決めている学会があるし、ちゃんと予算をとって最先端の知識を得る機会をつくっている。

曽根:半期に1回は社内で研究発表会がありますもんね。私自身、皆さんがどんな研究に取り組んでいるのか、どんなことを社会に仕掛けようとしているのかに触れると大きな刺激になります。

福田:心理学統計の分野では日本屈指の技術者と言っても過言ではない研究員がいるし、大学で教鞭をとる研究員もいる。こうした第一線で活躍するプロが多いこともこの事業における大きな強みになっているね。

曽根:OB、OGのなかには大学の教授になっている人もいますよね。

内藤:私たちの実践をともなった研究成果は、心理学やHRM関連領域の学界でも評価されていて、国内外の学会で研究発表を行ったり、学会誌・専門誌に論文が掲載されることもある。

曽根千智 内藤淳

福田:曽根さんはこうした環境ってどう思う?若手の視点から見て。

曽根:私は大学院の博士課程への進学も検討していたのですが、大学時代は学術的な研究と一般企業の知見がつながっていないことに課題意識を持っていました。就職活動でも「公的利益を追求しながら自社で研究活動をやっているところ」という視点で企業を探していたのですが、シンクタンクでもどこか物足りないと感じていました。今は、雇用という社会的課題を追究しながら研究に取り組むことができて魅力的な職場だなと思っています。飽きないというか、常に好奇心が刺激される環境には純粋にワクワクしますし、先端研究に触れられるだけでなく自分からもどんどんアイデアを発信できる風土は大きな魅力です。仕事を通じて学ばせてもらって、さらに研究活動も強力に支援してくれる。こういう働き方ができる場所がリクルートキャリアにもあるよってことは、学生の方にもぜひ知ってもらいたいですね。

内藤:急に採用メッセージっぽくなったね(笑)

福田:でも、そうした研究と実践の狭間にいて、その両輪を追求できるのはこの事業の魅力でもあり、強みでもあるよね。

内藤:膨大なデータ、先端研究に触れる機会、挑戦を後押しする風土。これらが揃ってはじめて、「未来の測定はどうあるべきか」というアイデアを実現していけるのだと思います。

福田:こういう社会をつくるんだという信念があったのはもちろんだけど、学歴主義という当時の常識をくつがえして「個を活かす社会」という価値観を広げることができたのも、こうした強みがあったからこそかもしれないね。

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企業だけでなく、学生にも向きあう。
見えてきた兆し

内藤:これから先、我々はどんなことに取組むべきだと思いますか?

福田:私個人としては、SPI自体は一つの完成形に近い形になってきたのではないかと思う。これからは新たな軸として、もっと一人ひとりの可能性をフラットに掴めるものがつくれないか、と。

曽根:現在は適性、基礎能力のふたつが大きな検査対象ですが、それ以外のものさしも検討すべきということでしょうか?

福田:そうだね。たとえば“やりたいこと”“価値観”というものも含めてその人の関心がどこに向いているのかが分かれば、今以上に個を活かせるようになると思うんだよね。

内藤:学生のうちからそういう客観的な情報に触れられるといいですね。

福田:今は仕事をしたことがないのに「やりたいことを決めろ」と言われているようなものだし、いろいろな就職活動の歪があるなかで、学生が将来を決めるうえで、より魅力的な指針がつくれたらと考えることはあるね。

曽根:歪という観点で言うと、私はもっと就職活動をしている学生たちがSPIについてどう感じているのかに注目していくべきではないかと考えています。本来、学生も企業も対等なはずなのに、今はどうしても企業側の力が強くなって、選ぶ、選ばれる、といった色合いが強い。そういったことに対して学生の本音を汲み取りながら、まったく新しいテストをつくっていくというのも今後チャレンジしてみたいです。

内藤:最近はリクナビと連携して性格診断などを学生にフィードバックして、就活生が自己理解を深めるための支援も行っているけど、就活生にとって適性検査は“乗り越えるべき壁”と受け止められている面もある。意中の企業に受かりたいという想いが、自分を取り繕う姿勢につながってしまうと就活生のためにはならず、悩ましい問題だね。

福田:学生の指針となるようなオリジナルテストを展開していけば、ジレンマもなくなるかもしれない。ただ、そうしたときにビジネスとしてどう成立させていくのかということは非常に難しい。「あるといいな」というレベルではなかなかうまくいかず、「ないと困るもの」にまで高めないと事業化は難しいという傾向があるからね。

内藤:そうした「本当に必要なものか」という厳しい目線を持ちながらも、何か新しいチャレンジを生みだしていく必要がありますね。もしかすると今後、若い人たちから目が覚めるようなアイデアが出てくるかもしれない。その手があったか、みたいな。

曽根:かつて学歴だけですべてを判断されていた時代に、SPIが生まれて、今ではそれが当たり前になったように、新たな判断軸が生まれる可能性は絶対にあるはずです。やはり企業だけでなく、学生と向きあっていくことに私はチャンスが眠っているような気がします。

福田隆郎 内藤淳

福田:内藤さんは今後やってみたいことはある?

内藤:今の話で出てきてなかったことで言うと、相互理解のためのさまざまな施策をもっと提供していければと考えています。曽根さんの入社したときの話じゃないですけど、自分だけでなく周りの同僚たちの持ち味を知ることによって生まれるコミュニケーション、円滑なマネジメントというものもあると思うんです。「自分はこういうタイプの人間です」とオープンにすることで、周りもその人柄を理解したうえでコミュニケーションをとることができますし。それぞれの良さをそれぞれが理解し、今以上にイキイキと働ける社会をつくる。そんなことに挑戦していければと考えています。

福田:こうやって集まるといろいろアイデアも膨らむね。

曽根:そうですね。こういう「こんな社会にしたい」という青臭い議論が尽きないのも、リクルートキャリアならではの風土だと思います。今日もまだまだ話し足りない。(笑)

福田:全然、時間足りないねえ。

内藤:近いうちに延長戦しましょうか。

福田:いいですね。

曽根:では、本日はありがとうございました。

福田:こちらこそ。

内藤:延長戦、楽しみにしています。

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※この記事は2016年3月時点のものです

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